宝石のイラスト・ジェット
Jet
ジェットは、海底の中で長い年月をかけて炭化した「樹木の化石」です。
こちらのページでは、ジェットの楽しみ方や魅力を紹介します。
原石の種類 | :鉱物種ジェット/和名【黒玉(こくぎょく)】 |
モース硬度 | :2.5〜4 |
結晶系 | :なし |
化学組成 | :有機物、炭化水素 |
劈開 | :なし |
光沢 | :樹脂〜ガラス状 |
色 | :黒色、茶色 |
産地 | :アメリカ・ニューメキシコ州 |
漆黒の宝石・ジェット
海に流れ込んだ樹木が化石化したジェットは、原石のときは石炭のように見えますが、磨き上げたときに放つ優しい光沢と美しい艶から「漆黒の宝石」ともいわれています。
ジェットは驚くほど軽く、汗にも強いため変色しにくいのが特徴で、ほかの宝石と比べて持ち運びやすく、お手入れも簡単です。
扱いやすいだけでなく、身に付けたときに有機素材ならではの温もりのある漆黒が肌になじみ、気品が感じられる宝石です。
古代から、強い魔除けの意味をもつジェットは、現在もパワーストーンとして人気があります。
ヴィクトリア女王のモーニングジュエリー

ヴィクトリア女王&アルバート公と子供たちの肖像画
ジェットを愛用したことで最も有名な人物といば、イギリスのヴィクトリア女王でしょう。
モーニングジュエリーとは、朝という意味合いではなく、葬儀の席で着用するジュエリーのことです。
ヴィクトリア女王は、愛するアルバート公を亡くした後、20年以上に渡って、黒色のジェットを身に着けたといわれています。
このことからジェットは、亡き人を偲ぶ宝石・モーニングジュエリーとしての地位を確立し、現在は日本の皇室でも使われています。
ダヴィンチが絵画に描いたジェット

レオナルド・ダ・ヴィンチ「白貂を抱く貴婦人」(1490)
ダ・ヴィンチが描いた数少ない肖像画のひとつに「白貂を抱く貴婦人」という作品があります。
描かれた人物は、シエナ貴族であったガッレラーニ家の血を継ぐミラノの令嬢・チェチーリア・ガッレラーニ、おそらく17歳頃の姿であるといわれています。
幼さを残した少女の大人びた表情が印象的な一枚で、身にまとったシンプルなドレスや独特のヘアスタイルは当時、上流社会で流行したものです。
そして、彼女の透き通るような白い肌にひときわ印象的なのが、黒い連のネックレスでしょう。この漆黒のジュエリーこそまさに、ジェットではないかといわれているのです。